Claude Codeで作り始める前に要件を固める方法【いざな丑のClaude Code入門③】

Claude Codeで作るテーマが決まったら、

うっかり戌

作ってください

と指示したくなります。

いざな丑

しかし、たとえば「問い合わせ記録ツールを作って」とだけ伝えても、誰が使うのか、何を入力するのか、どのような画面が必要なのかは分かりません。

そのまま実装を始めると、Claude Codeは不足している部分を推測しながら形にします。結果として、動くものはできても、欲しかったものとは違うということが起こります。

第3回は、Claude Codeに作らせる前に、AIから質問してもらいながら要件を固める方法を、いざな丑と一緒に整理します。

目次

曖昧な依頼では、AIも正解を決められない

うっかり戌

「使いやすい画面にして」
「いい感じに自動化して」
「必要な機能は一通り入れて」

人同士でも、これだけでは完成形の認識がそろいません。Claude Codeも同じです。

AIは与えられた情報から、それらしい答えを補うことはできます。しかし、「担当者名は必須か」「一覧で何を見たいか」「記録後に通知するか」といった自社固有の事情までは読み取れません。

Claude Codeの公式ベストプラクティスでも、指示が具体的であるほど修正が少なくなることや、大きな機能では実装前にClaudeから詳しく質問させる方法が紹介されています。

いざな丑

要件整理は難しい設計書を作る作業ではありません。まずは、頭の中にある完成イメージを、AIと共有できる言葉に変える作業と考えましょう。

最初に整理したい6つの項目

小さな社内ツールであれば、最初に次の6項目を確認するだけでも、認識のずれを大きく減らせます。

項目確認すること問い合わせ記録ツールの例
目的何を改善したいか対応漏れと二重対応を減らす
利用者誰が、何人で使うか社内の担当者3名
入力何を登録するか受付日、要件、担当、対応状況
処理入力後に何をするか未対応・対応中・完了に分ける
出力何を確認・保存したいか一覧、検索結果、月次件数
制約任せない範囲や条件顧客への自動送信は行わない

大切なのは、機能をたくさん並べることではありません。

「なぜ必要なのか」「誰のどの仕事が変われば成功なのか」を先に決めると、必要な機能と不要な機能を判断しやすくなります。

Claude Codeを“質問する側”にする

いざな丑

自分だけで要件を漏れなく考える必要はありません。Claude Codeに、実装担当ではなく聞き手になってもらいます。
最初は、次のように依頼します。

社内で使う問い合わせ記録ツールを作りたいと考えています。
まだ実装やファイル変更は始めないでください。

要件を整理するために、目的、利用者、入力、処理、出力、
制約、例外、完成の判断基準について、一度に一問ずつ質問してください。

専門用語を使う場合は、非エンジニアにも分かるように説明し、
必要に応じて選択肢とおすすめ案を示してください。

質問が終わったら、決まったこと・未決定のこと・対象外にすることを
要件メモとして整理し、私の確認を待ってください。

一度に大量の質問を出してもらうと、回答が雑になったり、一部を飛ばしたりしやすくなります。一問ずつ質問してもらうことで、考えながら答えられます。

専門用語が分からなくても、そこで止まらない

質問の途中で、聞いたことのない技術用語が出る場合があります。

そのときは、分かったふりをして選ぶ必要はありません。次のように返します。

「新入社員にも分かる言葉で説明してください」
「それぞれの違いと、今回の用途でのおすすめを教えてください」
「判断に必要なメリット、注意点、費用や運用への影響を整理してください」
「今決める必要がありますか。後から変更できますか」

非エンジニアが決めるべきなのは、技術方式の名前そのものではなく、利用者にとって必要な状態と、許容できる条件です。

いざな丑

技術的な選択はClaude Codeに候補を出してもらい、理由を理解したうえで選びましょう。重要な情報や外部公開が関わる場合は、専門家による確認も必要です。

質問が終わったら「要件メモ」にまとめる

回答が出そろったら、そのまま実装へ進まず、決まった内容を一度まとめてもらいます。

特に確認したいのは、次の4点です。

1.作るものと、その目的
2.今回作る機能と、作らない機能
3.未決定で、後から判断する項目
4.何ができれば完成と判断するか

「作らないもの」を明記するのは、とても重要です。

いざな丑

たとえば、最初の試作では「社外公開しない」「顧客への自動送信はしない」「本番データは使わない」と決めておけば、必要以上に範囲が広がることを防げます。
要件メモを読んで、自分が想像していたものと同じかを確認し、違う部分を修正します。双方の認識がそろってから、初めて実装へ進みます。

要件整理でよくある4つの失敗

欲しい機能だけを思いつくまま追加する

目的が曖昧なまま機能を増やすと、画面も操作も複雑になります。「この機能が目的の達成に必要か」で判断します。

現在の業務をそのまま再現しようとする

紙やExcelの手順をそのまま画面に置き換えると、不要な作業まで残ります。現在の手順ではなく、実現したい状態から考えます。

例外だけを先に考えすぎる

まれな例外をすべて盛り込むと、最初の試作が大きくなります。通常の流れを先に作り、例外は記録して後から優先順位を判断します。

質問が終わる前に実装を始める

質問の途中で「だいたい分かったから作って」と進めると、重要な制約が抜けることがあります。要件メモを確認するまでは、実装やファイル変更を待ってもらいましょう。

要件は「絶対に変えてはいけないもの」ではない

最初に要件を固めても、実物を見ると考えが変わることはあります。

要件整理の目的は、一度決めた内容を固定することではありません。変更したときに、「何を変えたのか」「どこへ影響するのか」を分かる状態にすることです。

ぼんやりしたまま作り直すのと、変更点を理解して直すのでは、手戻りの大きさが違います。

いざな丑のひとこと

いざな丑

Claude Codeを使うと、思いつきをすぐ形にできます。だからこそ、作り始める前の短い対話が大切です。

最初から完璧な指示を書く必要はありません。「不足していることを一問ずつ質問してください」と頼めば、AIと一緒に考えを整理できます。

ただし、AIの質問に答えたからといって、要件が自動的に正しくなるわけではありません。実際に使う人にも確認し、最後は人が目的と範囲を判断しましょう。

次回は、「なぜClaude Codeでは見た目から先に作るのか」をテーマに、画面と中身を同時に作り始めない理由を紹介します。

生成AI・Claude Codeの業務活用を検討している企業様へ

Claude Codeの活用では、操作方法を覚えるだけでなく、業務課題を整理し、利用者と完成条件を言葉にする力が重要です。

要件が曖昧なまま試作を重ねると、作ること自体が目的になり、現場で使われないツールになりかねません。

株式会社いざなうでは、生成AI・Claude Codeの活用テーマ整理、要件検討、社内研修、運用ルールづくりをご支援しています。

「作りたいものはあるが、どこまで整理すればよいか分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。

生成AI・Claude Codeの業務活用を検討している企業様へ

Claude Codeの活用では、ツールの操作方法を覚える前に、自社のどの業務を題材にするかを見極めることが重要です。

業務負担、利用者、扱う情報、確認体制を整理しないまま始めると、試作はできても社内で使えないものになりかねません。

株式会社いざなうでは、生成AI・Claude Codeを含むAI活用テーマの整理、社内研修、運用ルールづくりをご支援しています。

「自社では何から始めるべきか分からない」という段階から、お気軽にご相談ください。

参考情報

記事の企画・監修

DXコンサルタント 蓼沼 康之(たでぬま やすゆき)
株式会社いざなう 代表取締役社長

<経歴>
不動産デベロッパーにて、DX推進部門の立ち上げと業務改革に従事。その後、不動産テック企業の経営陣として、大手不動産会社や地方銀行を担当し、不動産情報や不動産ビッグデータの有効活用支援、DX推進コンサルティングを手がける。
営業DXの観点から、見積もり、発注、不動産データの納品までを自動化するDXサービスを企画・ローンチするなど、事業開発にも携わる。
生成AIの活用支援や導入コンサルティングの実績も豊富で、大手不動産会社から中小企業まで、企業規模を問わず幅広く支援している。業務効率化や営業支援、社内活用の定着まで、各社の課題に応じた実践的な導入をサポートしている。

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