立派なDXを実らせたい。でも、なぜか成果に繋がらない・定着しない
いざな丑生成AI、RPA、AIエージェント、Claude Code。
DXの世界では、次々と新しいツールやサービスが登場しています。
SNSや他社事例を見ていると、
「AIエージェントで業務を全自動化した」
「短期間でシステムを構築した」
「人がほとんど触らなくても仕事が流れるようになった」
といった、華やかな事例が目に入ります。
夢見巳社長も、そんな事例を見るとつい思います。



うちも、あんな立派なDXを実らせたい
もちろん、その気持ちは間違っていません。



しかし実際のDX支援の現場では、外側から見るととてもきれいなのに、実際に業務へ入ってみると、思ったほど使われていなかったり、人の確認作業が大量に残っていたりする仕組みに出会うことがあります。



実際に使ってみると、チャットボットが欲しい回答をくれないので、チャットボットに聞いた後、人に聞くことが多く、導入前に聞いていた話ほど業務効率に繋がっている実感がありません



ほーらワシの言った通りじゃろ
言ってみれば、
のような状態です。



では、中身までおいしい、りんごを実らせるには、何が必要なのでしょうか。
今回は「りんごの木」の話から、DXについて考えてみます。




りんごの実は「結果」。本当に見るべきなのは「根」
ある若者が、大きくて甘いりんごを実らせたいと願っていました。
毎日、木を見上げては、



「もっと大きな実になってほしい」
「もっと立派なりんごになってほしい」
と願います。
しかし、なかなか思うような実はなりません。
若者は、



「木が悪い」
「天気が悪い」
「運が悪い」
と、目に見える結果ばかりを気にしていました。
そこへ庭師がやってきて、若者にこう伝えます。



「私は実ではなく、根を見ている」
庭師が根元を調べると、土は固く、水や肥料は足りず、枝も伸び放題でした。
若者はそこで初めて、実そのものではなく、実を生み出している見えない部分に目を向けます。
土を耕し、水を与え、枝を整え、根を育てる。
すぐに大きな実がなるわけではありません。
実は結果。根は、その結果を生み出している原因です。



DXにも、まったく同じことが言えます。
DXでは「実」ばかりが注目されやすい
DXに置き換えると、目に見える「実」はとても分かりやすいものです。
- 生成AI
- RPA
- AIエージェント
- Claude Code
- 業務自動化
- ダッシュボード
- 新しい業務システム
こうしたものは成果として見えやすく、社内でも説明しやすいため、どうしても注目が集まります。
「どのAIを導入するか」
「どのシステムを入れるか」
「どこまで自動化できるか」
という話からDXが始まる企業も少なくありません。
しかし、いざな丑が最初に見たいのは、その「実」だけではありません。



その会社のDXを支えている根が、どのような状態になっているか。
ここが非常に重要です。
DXにおける「根」は、データ・情報基盤
DXにおける根の一つが、データです。
例えば、こんな状態はないでしょうか。
- 同じ顧客なのに部署ごとに表記が違う
- 同じ物件なのに複数の名前やコードで管理されている
- Excelごとに列の意味が違う
- 担当者によって入力方法が違う
- 必要な情報同士の関係が整理されていない
- どのデータを正とするのか決まっていない
この状態の上にAIや自動化の仕組みを載せても、安定した成果にはつながりにくくなります。
そのため、DXを進めるうえでは、
- マスターデータの整理
- データの正規化
- データの構造化
- 何を一つの情報単位として管理するのかというエンティティの整理
- データ同士の関係性の整理
といった、目立ちにくい部分が重要になります。
これが、DXにおける「根」です。
根を育てるためには「土壌」も必要
さらに、根がしっかり張るためには、土壌が必要です。
DXにおける土壌とは、会社の仕事のやり方そのものです。
例えば、
- 会社としてどこを目指すのか
- 業務上の共通ルール
- 作業プロセス
- マニュアル
- ファイルや情報の保管場所
- 情報の更新方法
- 誰がどこまで責任を持つのか
- 部門をまたいだ仕事の進め方
といった部分です。
どれだけ良いデータ設計をしても、現場のルールや仕事の流れがバラバラであれば、根は安定しません。
逆に言えば、
土壌=会社の方向性・ルール・業務プロセス
根=マスターデータ・正規化・構造化・エンティティ設計
実=生成AI・RPA・AIエージェントなどの見える成果
と考えると、DXの構造が分かりやすくなります。


同じAIエージェントでも「中身」はまったく違う
ここは、これから特に重要になるポイントです。
例えば、同じように「AIエージェントを導入しました」と説明している2社があったとします。
画面だけを見れば、どちらも同じように見えるかもしれません。
一方の会社では、マスターデータが整理され、必要な情報が構造化され、業務ルールや保管場所も統一されている。
もう一方では、複数のExcel、担当者ごとのファイル、異なる表記、属人的なルールが残ったまま。
この状態でAIエージェントを動かせば、見た目は同じでも、中身には大きな差が生まれます。
根を育てた会社では、AIが必要な情報へたどり着きやすく、業務との接続もしやすくなります。
一方、根をおろそかにした会社では、人が毎回確認したり、例外対応したり、AIへ渡す情報を整え直したりすることになります。
つまり、
「AIエージェントを導入したか」だけでは、DXの成熟度は分かりません。
重要なのは、
どのような根の上に、そのAIエージェントが育っているのか。
ということです。
隣の木の、きれいなりんごだけを見ない
DXでは、どうしても他社が気になります。
競合企業が生成AIを導入した。
SNSで驚くような自動化事例を見た。
AIエージェントが人の代わりに仕事をしている動画を見た。
すると、



うちも、あのりんごが欲しい
と思います。
しかし、隣の木になっている実だけを持ってきても、自分たちの木に同じ実がなるわけではありません。
大切なのは、



なぜ、その会社ではその実が育ったのか。
その下にある根や土壌まで見ることです。
むしろ生成AIやAIエージェントが進化するほど、企業側の根の状態が成果を大きく左右するようになります。
AIが優秀になればなるほど、
「何を参照させるのか」
「どの情報を正とするのか」
「情報同士をどのようにつなぐのか」
「どのルールで動かすのか」
という企業側の設計が重要になるからです。
DXで本当に育てるべきものは、目に見えにくい
りんごの実は目立ちます。
根は見えません。
DXも同じです。
経営会議では、新しいシステムやAIのデモの方が話題になりやすく、マスターデータや業務ルールの整理は地味に見えます。
しかし、本当に強いDXをつくるためには、この見えない部分を育てなければなりません。
いざな丑がDX支援で大切にしているのも、
「何のツールを入れるか」
だけではなく、
そのツールがきちんと育つ根と土壌があるか
を見ることです。
まとめ
DXでは、どうしても「成果」を急ぎたくなります。
- 生成AIを導入したい。
- AIエージェントを作りたい。
- 自動化したい。
- 人を介さず業務が流れるようにしたい。
その目標自体は間違っていません。
ただし、大きくて中身までおいしいりんごを育てるためには、実だけを見続けても変わりません。
結果を変えたいのであれば、その結果を生み出している原因を見る。
DXにおいて、その原因の多くは、普段は目立たないデータ、ルール、業務プロセス、情報管理の中にあります。
マスターデータの整理・正規化・構造化、業務ルールやプロセスの整理、情報の保管場所の統一、そして将来のAI活用を見据えたエンティティ設計など、DXの土台づくりから一緒に考えることが可能です。
特に、AIエージェントや生成AIを本格的に活用していくためには、どの情報をどの単位で持ち、どのような関係でつなげるのかというデータ設計が重要になります。



「AIや自動化を進めたいが、今のデータや業務の状態で本当に大丈夫なのか」
「AIエージェントを作る前に、何を整えておくべきなのか」
「マスターデータを作りたいが、どのエンティティから設計すればよいのか」
そんな企業様は、まず現在のDXの「根」がどのような状態になっているのか、一緒に整理してみませんか。
DXの根っこづくり、データの正規化・構造化、マスターデータ構築、エンティティ設計、業務ルール・プロセス整理のご相談は、株式会社いざなうまでお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは 株式会社いざなう ホームページよりお願いいたします。
記事の企画・監修
DXコンサルタント 蓼沼 康之(たでぬま やすゆき)
株式会社いざなう 代表取締役社長
<経歴>
不動産デベロッパーにて、DX推進部門の立ち上げと業務改革に従事。その後、不動産テック企業の経営陣として、大手不動産会社や地方銀行を担当し、不動産情報や不動産ビッグデータの有効活用支援、DX推進コンサルティングを手がける。
営業DXの観点から、見積もり、発注、不動産データの納品までを自動化するDXサービスを企画・ローンチするなど、事業開発にも携わる。
DXのグランドデザイン、生成AIの活用支援や導入コンサルティングの実績も豊富で、大手不動産会社から中小企業まで、企業規模を問わず幅広く支援している。業務効率化や営業支援、社内活用の定着まで、各社の課題に応じた実践的な導入をサポートしている。













