その自動化、毎月いくら?「全部AI任せ」から、人とAIの分担を考え直した話

その自動化、毎月いくら? 人に残す仕事を決めると、設計が変わる
SNS自動化のAPI費用を確認し、収集・通知は自動、選択・制作は人とAIへ分担を見直す6コマ漫画

※冒頭漫画は、自社の設計検討をもとにした架空の「まちみらい不動産」の会話です。実在の人物の発言や実際の請求を再現したものではありません。

「SNSのネタ探しから画像づくりまで、自動化できたら」。生成AIに相談しながら、コードやサービス連携の実装案を具体化しやすくなりました。だからこそ、「できます!」の次に、毎月どれくらい使い、誰が確認し、どう回すかまで考えたいところです。

冒頭漫画のように、想定費用を見て一度立ち止まることもあるでしょう。そこで全部をやめる前に、「どこまで自動にするか」を考え直してみる。今回は、当メディアを運営する株式会社いざなう自身のSNS運用設計を紹介します。

目次

ChatGPTの画面で使うことと、AIを自動で呼ぶことは別

普段のChatGPTでは、人が画面を開き、資料を添付して依頼します。一方、素材が増えたらシステムがAIを呼び出し、候補や画像をつくる設計では、人がその都度画面を操作しません。今回の当初案では、この呼び出しにAI APIを使う予定でした。

APIは、サービスやソフトウェア同士が機能やデータをやり取りするための窓口です。APIという仕組み自体がすべて有料なのではありません。ただし、生成AI APIには利用量に応じた料金が設定されているものがあります。

OpenAIでは、ChatGPTとAPIの請求は別管理です。「ChatGPTを契約しているから、外部システムからのAPI利用も使い放題」とは考えず、利用条件を確認する必要があります。

毎月の費用は「何を、どれだけ呼ぶか」で変わる

生成AI APIの利用料は、使うモデル、入力・出力する文章量、画像のサイズや画質、生成回数などで変わります。参照画像を読み込ませる処理や、できた画像をAIで検査する処理、作り直しの回数も見積もりに関わります。料金の数え方はサービスやモデルごとに異なります。公式料金表と画像生成の公式説明で、対象の工程を確認しましょう。

料金表に出てくる「トークン」は、処理する文章量などを数える単位の一つです。文字や単語の一部分などに分けて数えるため、「日本語1文字=1トークン」とは固定できません。言語やモデルによっても変わります(OpenAIのトークン解説)。

自社事例:欲しかったのは「投稿ネタになる現場のズレ」

いざなうがやりたかったのは、文字起こしや対話メモ、既存記事からSNSの投稿ネタを見つけることでした。単なる記事要約や「DX」「AI」という単語の抽出ではありません。仕事の中にある、具体的なズレや矛盾を拾いたかったのです。

たとえば、「課題を聞いても出てこないのに、日常の転記の話になると困りごとが出てくる」「工程はあるのに、その目的を誰も説明できない」「AIでつくった資料の根拠を聞かれ、またAIに調べてもらう」。こうした場面から、読み手が自社を振り返る投稿をつくる構想です。

最初は、素材を収集し、AI APIで候補を抽出してGoogle Chatへ通知。人が選ぶと、画像3枚と投稿本文を自動生成し、確認処理を経てGoogle Driveへ保存する案を検討しました。生成AIに相談しながら、コードや連携の実装案を具体化できました。

設定の途中で「APIはどれくらいかかるか」を確認すると、候補抽出、画像生成、参照画像の読み込みや検査など、呼び出す工程と量によって想定利用料が変わると分かりました。高額請求が来たから止めたのではなく、APIを本稼働させる前に費用と運用方法を比べた段階です。

素材が届けば、制作は人とChatGPTで進められる

そこで、「全部を自動生成しなくても、素材が届けば、自分でChatGPTに貼って制作を進められる」と考え直しました。今回の運用では、OpenAI APIを使わない構成を採用したのです。

当初案と採用した分担の比較。青は自動、黄は人の操作・判断、紫はAI API。採用案では収集・通知と掲載依頼を自動化し、制作と公開に人が関わる
人が担う部分を決めて、追加の生成AI APIを使わない分担へ。画像を押すと拡大できます。

収集と新着通知は、既存のGoogle Apps Script(GAS:Googleのサービスを連携・自動化する仕組み)に任せます。素材が追加・更新されると、Google Chatに件数と管理表へのリンクが届きます。

人は管理表から扱いたい素材を選び、原文やファイルを既存のChatGPT画面へ貼り付け・添付します。ChatGPTと一緒に現場あるあるの候補を抽出し、良い候補を選んだら、逆説名言・DX川柳・2コマ漫画の3投稿と、それぞれの本文を制作・確認・保存する分担です。

成果物の保存と制作完了の記録をGASが確認すると、掲載担当者をメンションし、完成品リンク付きで掲載を依頼する設計にしています。入口は「素材が届いた」、出口は「掲載をお願いします」という通知でつなぎます。Instagramへの公開は担当者が行い、自動公開は今回の対象に含めていません。

今回の構成では、追加の生成AI API利用料を使いません。ただし、既存のChatGPTやGoogle Workspace等の契約費・利用枠、人が素材を選んで貼り付けたり確認したりする時間は別です。「APIなしだから、すべて無料」という意味ではありません。

執筆時点では、素材新着通知の接続テスト、既存素材を重複通知しない分岐、自動実行設定、完成時の担当者メンションの接続テストと自動確認設定を確認済みです。完成品の配置から掲載依頼が届く一連の本番通知は、このテーマの制作で初めて確認する段階です。長期運用の成果や投稿数・削減時間・売上の効果は未計測で、API料金の実請求事例でもありません。

全自動と、人を残す設計。どちらが合う?

大量・高頻度の処理で人の手間を大きく減らせるなら、API費用を払って自動化する合理性があります。一方、少量で、候補の選別や判断に人が関わるSNS運用なら、収集・通知を自動にし、制作は既存ツールを人が操作する形も選択肢になります。

比較したいのは、API利用料だけでなく、人が選ぶ・貼る・確認する時間、保守やエラー対応も含めた負担です。人を残せば必ず安くなるわけではありません。貼り付けが増えて回らなくなるなら、その工程を改めて自動化する考え方もあります。

「月にどれくらい処理するか」「どこに人の判断が必要か」「止まったとき誰が対応するか」。このあたりを確認すると、任せる範囲が見えてきます。生成AIが実装を助けてくれる時代でも、どの仕事を任せるかを決めることは大切です。

人を残すことは、自動化の失敗を意味しません。目的と運用量、費用に合う分担を決めることも、設計です。いざなうも、まずこの分担で運用を確かめていきます。

自社では、どこを人に残すと回りやすいでしょうか

「自動化できそうだけれど、費用や日々の手間まで考えると迷う」「人が確認すべき場所を整理したい」。そんなときは、ツールを決める前に、いまの業務と運用量から一緒に整理してみませんか。株式会社いざなうでは、生成AI活用と業務の見直しを支援しています。

不動産賃貸管理会社の方は、DX相談・無料診断のご案内をご覧ください。「自社では、どこを人に残すべきか」という段階からご相談いただけます。

料金・サービス仕様の参考情報は2026年11月8日に公式情報を確認。最新条件はリンク先をご確認ください。本記事では固定の月額や削減効果を算出していません。

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