生成AIでやろうとしたらGASだけでできた!音声カレンダー登録で学ぶ「小さく始めるDX」

生成AIでやろうとしたらGASだけでできた。夢見巳社長、しっかり戌、いざな丑が小さく試すDXを紹介
壮大な構想をカレンダー登録から試し、開発はChatGPT、日々の実行はGASと気づく6コマ漫画。1から6の順に読みます
画像をタップすると拡大できます。漫画の会話は、実体験をもとにしたフィクションです。

「生成AIで、全部つなげられそう!」。便利な使い方を思いついたときほど、構想は一気に大きくなります。メールの下書きも、議事録も、予定登録も。夢見巳社長の気持ち、少し分かるのではないでしょうか。

今回、当メディアを運営する株式会社いざなうが実際に作ったのは、iPadに話した予定をGoogleカレンダーへ登録し、完了メッセージを音声で返す仕組みです。開発中はChatGPTに相談しましたが、完成した予定登録の処理では、生成AI APIを呼び出していません。

しっかり戌

作るときは生成AI。動かすときはGAS。役割を分けたら、まず一つ完成しました!

この記事では、今回のカレンダー登録に絞って、Siri・GAS・生成AIの使いどころを振り返ります。大きな構想を、小さく動かして育てる実践例です。

目次

できたのは、カレンダー登録から音声の完了報告まで

実現した流れは、iPadの音声入力 → Appleショートカット → GAS → Googleカレンダー → iPadで音声完了報告。ショートカットは、端末の操作や通信を組み合わせるAppleのアプリです。GAS(Google Apps Script)は、Googleのサービスをプログラムで連携・自動化する仕組みです。

例えば、「11月13日13時から14時まで、○○建設との打ち合わせを登録して」と話します。音声入力で文字になった内容から、GASが決めたルールに沿って日付・開始時刻・終了時刻・件名を取り出し、予定を作成。GASから返された完了メッセージを、iPadが読み上げます。※会社名は説明用の仮称です。

Google公式にも、GASのカレンダー作成機能と、外部からリクエストを受け取るウェブアプリの仕組みが用意されています。今回はそれらを組み合わせた実装です。

確認できたのは「音声入力による予定登録」と「完了メッセージの読み上げ」まで。「Hey Siri」の呼びかけだけで起動する完全ハンズフリー運用は、まだ動作確認が終わっていません。メール下書き作成、議事録連携、PCで開いている資料を音声指示で処理する機能も、今後の構想です。元の構想図にあったスマートスピーカーでの操作を実現したわけでもありません。

なお、ここでいう「GASだけでできた」は、音声を文字にした後の今回の予定登録に、生成AI APIが不要だったという意味です。iPadの音声認識やショートカットも使っています。「一切のAI技術を使っていない」という話ではありません。

「作るときのAI」と「毎日動くAI」は、別の話

家を建てるときに相談した設計者が、毎朝ドアを開けに来る必要はありません。同じように、ChatGPTに相談してプログラムを作っても、そのプログラムを動かすたびにChatGPTへ問い合わせる必要はないのです。

開発時は人とChatGPTが仕組みを作り、運用時はiPad・ショートカット・GASがカレンダー登録を実行する役割分担
生成AIを使う工程を選ぶ。今回の予定登録は、実行のたびに生成AIへ問い合わせません。

開発中には、ショートカットへのURL設定、送信方法のGETからPOSTへの変更、JSONというデータ形式での送信、認証用の秘密キーの設定、認証失敗、返ってきた完了メッセージの取得など、いくつもつまずきがありました。ChatGPTに状況を伝え、設定とコードを一つずつ見直して解決しました。

プログラミングの専門知識が十分でなくても、相談しながらコードや設定を具体化しやすくなりました。ただし、提案された内容がそのまま動くとは限らず、実際に試して結果を確かめる作業は必要です。秘密キーの実値や接続先の詳細は、この記事では公開しません。

いざな丑

AIが作業を助けてくれたことと、出来上がった仕組みがAIを毎回使うことは、分けて考えると分かりやすいですね。

Siri・GAS・生成AI、今回の予定登録ならどれが合う?

次の表は、音声でカレンダーへ予定を追加する用途に絞った比較です。今回試したのはGAS構成で、Siriや生成AI構成との同条件の実測比較は行っていません。特徴に基づく設計上の評価です。

今回の「音声カレンダー登録」を基準にした比較(横にスクロールできます)
比較する点Siri標準機能GASによる自作処理生成AIを組み合わせた処理
実現できる機能対応するカレンダーに音声で予定を追加決めた言い方から予定登録し、結果を返す自由な依頼の解釈+連携先で予定登録
開発・設定の手間比較的小さい。アカウントや保存先の設定は必要ショートカット・GAS・通信・認証を自分で設定左記などの連携に加え、AIの接続・指示・検証が必要
日々の運用コスト標準機能の範囲で利用。端末・通信等は別今回の処理に生成AI API料金は不要。利用上限・保守負担あり使う生成AI APIの料金・利用枠と、連携側の負担を確認
日本語・曖昧な日時Siriが対応する言い方で依頼実装したルールの範囲。今回のような明確な日時向き曖昧な意図の解釈を助ける。確認が必要な場合も
処理の確実性聞き取りと登録結果を確認同じ入力は同じルールで処理。認識ミスや未対応表現は別問題解釈違いの可能性。日時などの検証と書き込み結果の確認が必要
メンテナンス自作コードの保守は基本不要。端末等の設定を管理コード・権限・秘密キー・エラー対応を管理連携部分に加え、モデル・料金・指示の変更にも対応
今後の拡張性標準で対応する機能が中心Gmail・DriveなどGoogleのサービスへ広げやすい文章の解釈・要約等を足しやすい。操作には別途連携が必要
向いている用途まず個人の予定を手軽に音声登録定型入力を、業務の決まった処理につなぐ自由な依頼や文章理解が必要な業務

今回のように「11月13日13時から14時まで」と日時を明確に伝え、対応する言い方を決められるなら、GASのルールによる処理が合っていました。毎回、生成AIに日時の解釈を依頼する必要性は小さかったのです。

ただし、GASなら必ず正しく登録できる、という意味ではありません。音声の聞き取り違い、年やタイムゾーンの扱い、未対応の表現、重複した実行、通信失敗などは考慮が必要です。今回動いたことと、あらゆる言い方で正しく動くことは別。長期運用の安定性や削減時間は、まだ評価していません。

GASにも実行時間やサービス利用の上限があり、超過時には処理が停止することがあります。開発で使うChatGPTやGoogle Workspace等の契約費、端末・通信費、設定や保守の時間も別です。「生成AI APIを使わない=運用の負担がすべてゼロ」ではありません。

「来週の空いている時間に」は、別の仕事も含んでいる

では、「来週の火曜日、午後の空いている時間に1時間くらい打ち合わせを入れて」ならどうでしょう。生成AIは、こうした自然な依頼から意図や条件を取り出す助けになります。GASでもルールを追加できますが、扱う表現が増えるほど作り込みも増えます。

ただし、文章が分かっただけでは、空いている時間は分かりません。実際の予定をカレンダーから取得し、条件に合う時間を探し、書き込む連携が必要です。候補が複数なら、利用者への確認も考えます。生成AIが空き状況を想像して決める設計にはしません。

しっかり戌

言葉の解釈が得意なAIと、実際に予定を読み書きする処理。それぞれの役割があるんですね。

今回の仕組みには、この空き時間の検索・選定は実装していません。次の機能を検討するときに、初めて生成AIを足す必要性を比べればよいのです。

そもそも、Siriだけでもよかったのでは?

単に個人の予定を音声で追加したいだけなら、Siriの標準機能の方が簡単な場合があります。AppleのカレンダーはSiriによる予定作成に対応し、iPadにはGoogleのカレンダーアカウントも追加できます。Googleへ登録したい場合は、同期設定と新規予定の保存先が、書き込み可能な目的のカレンダーになっているかを確認します。

参考:Apple公式・Siriでの予定作成/Apple公式・iPadのカレンダー設定。使える機能や設定表示はOS・端末・アカウントの条件で異なります。

今回GASを使ったのは、カレンダー登録が最終目的ではなかったからです。将来は、Gmailの下書き作成、Driveのファイル参照、議事録整理、Google Workspaceをまたぐ処理をつなぎ、必要な場面だけ生成AIを組み込む構想があります。

つまり、今回はカレンダー登録という小さな機能を使って、共通の処理基盤になる部分を試作した位置づけです。その先まで自動的に使い回せると確定したわけではなく、機能ごとに権限やデータの扱いを確かめる必要があります。

いざな丑

標準機能で足りるなら、まずそれで十分です。自作する理由があるかを確かめることも、技術選びの一つですよ。

壮大な構想から、まず一つだけ完成させる

元の構想図では、iPadとノートPC、ChatGPTとClaude、GASとGoogle Workspace、音声による指示や報告までが、一枚につながっていました。でも、最初に作ったのは予定登録だけです。

この一つを動かしたことで、URLや送信形式、認証、戻ってきたメッセージの扱いといった課題が見えました。生成AIに頼らずに処理できる部分も分かりました。最初からメールも議事録も同時に進めていたら、どこで止まっているのかを切り分ける対象も増えていたはずです。

「小さく作る → 実際に使う → 困るところを確かめる → 次の一つを決める」。小さく始めることは、大きな構想を諦めることではありません。実現に必要な条件を、一つずつ見えるようにする進め方です。

今回は「生成AIよりGASが優れている」と結論づける話でもありません。既存機能で済む仕事、決めたルールで動く仕事、文章の解釈が必要な仕事。それぞれに合う手段を選べば、費用と複雑さを増やす理由も、減らせる場所も見えてきます。

夢見巳社長

なるほど! じゃあ次はメールの下書きだ!

いざな丑

社長、また一つずつですよ!

「うちでもできそう」を、最初の一機能へ

「やりたいことはあるけれど、どこから始めればいいか分からない」「標準機能・GAS・生成AIのどれを選ぶべきか迷う」。株式会社いざなうでは、業務の流れと利用量を整理し、最初に試す範囲から一緒に考えます。

不動産賃貸管理会社の方は、DX相談・無料診断のご案内をご覧ください。自社に合う技術や、次に拡張する順番は、個別の業務や運用体制に合わせて整理できます。

あわせて読む:その自動化、毎月いくら? 人とAIの分担を考え直した話/全社導入の前に。AIエージェント活用は「小さく始める」

実装・動作確認の記述は、運営者から共有された今回の実施結果に基づきます。漫画は架空の会社・登場人物による再構成です。一般的な製品仕様は2026年11月8日に公式情報を確認しています。コードや実際の予定情報は公開していません。

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